胃カメラとは?
昔は胃カメラと言いました(今でも慣習的に使われています)。文字通り、胃カメラの原型は、管の先端にカメラを仕込んであったものだったからです。因みに日本人が開発しました。その後、光ファイバーを用いたファイバースコープの時代を経て、現在の電荷結合素子CCDを用いた電子スコープとなりました。正式名称は上部消化管内視鏡検査といいます。英語ではEsophagoGastroDuodenoscopyでEGDと略します。
経鼻胃内視鏡(鼻からの胃カメラ)
LEDを光源に用いた最新最高画質のフジフイルム社製内視鏡システムELUXEOを採用。経鼻内視鏡には極細経高画質内視鏡EG-840Nを採用。LCIおよびBLIといった特殊光を用いての観察により早期癌の診断に威力を発揮します。尚、画像右が一般的な経口の内視鏡、画像左が経鼻用です。経鼻内視鏡の細さがよくお判りいただけるかと思います。
経鼻ルートと経口ルートの違い
口からの内視鏡は咽頭後壁・舌根部に当たります。咽頭麻酔だけでは、全ての方の嘔吐反射を完全に抑えることは困難です。一方で経口でも楽に受けられる方もおり、個人差があります。
経鼻ルートだと、咽頭後壁・舌根部に当たらないので、嘔吐反射はほとんどみられません。
経鼻ルートの問題点は、鼻道が狭く通らない人が一定の割合でいること、鼻出血する可能性があることです。経鼻からの挿入が不可能の場合は、経口で行います。尚、当院では無理な挿入はしないので、鼻出血される方はまずいません。
当然、経鼻ルートだと楽なので胃カメラへの抵抗感が少なくリピート率が高いとされます。ピロリ菌に感染していない若い人は経鼻で十分です。ただし、経鼻を希望されても、胃炎が進行して胃癌のリスクが高いと思われる方、飲酒・喫煙歴から食道癌のリスクが高いと思われる方など、より精密な検査が望ましいと思われる場合には、鎮静剤を使用した上での口からの検査(経口ルート)をお勧めしています。
経鼻内視鏡検査のメリット
当院では極細経内視鏡を用いた経鼻内視鏡のみを行なっています。ただし、鼻が狭くて通らない方、経鼻は抵抗があると言う方は、口から検査を受けることも可能です。極細径なので、従来の経口内視鏡よりも圧倒的に楽に受けられます。画質も最新のハイエンドモデルを使用していますので十分な質が保たれていますので、安心して検査を受けていただけると思います。昔は胃カメラというと「苦しいから」と敬遠されたものですが、最近は患者さんの反応が変わって、検査を受けて頂く敷居が明らかに低くなりました。そもそも検査を受けてもらえないことには病気を見つけることも、病状を正しく診断することもできませんから、胃カメラの敷居を下げた経鼻内視鏡のメリットは計り知れません。他にも経鼻から検査を行うメリットとして、鼻腔、咽頭、喉頭の観察がしやすいことがあげられます。上咽頭炎、副鼻腔炎、咽頭腫瘍、喉頭腫瘍、声帯ポリープなどが見つかります。画像は、ほぼ正常といえる症例の参考画像です(わずかに食道炎があります)。
経鼻内視鏡は質が重要!
ところで、検査が楽に出来るようになったからと言って、猫も杓子も内視鏡をやる風潮には反対です。経鼻内視鏡は質を保つことにコツがあるので、学会でも経鼻内視鏡の是非が議題に挙げられたり、癌を見逃さないためのセミナーが行われたりしているほどなのです。経鼻内視鏡をドックに取り入れ、専門的に多数の症例をこなしている検診センターでは、胃癌の発見率には経鼻と経口で差がないという報告もありますが(そもそもドックでの胃がん発見率が低いのに統計学的有意差がでるか疑問です)、検査の質が保たれるのかどうかは(内視鏡の性能が良いことが大前提)、内視鏡医次第です。
鷹や鷲の仲間は上空1500mの高さからエサを見つけるそうです。内視鏡医にも、疾患と経鼻内視鏡の特性を理解していること、かつ鋭い観察眼を持っていることが求められます。
除菌前後の内視鏡は必須!
他医で内視鏡検査をやらずに自費で除菌された方です。他の症状で来院しましたが内視鏡検査を勧めたところ、5mm程の早期胃癌がありました。画像左は通常光、右はLCIモードで観察したものです。病変と非病変部の境界が明瞭に描出されています。幸いごく早期でしたので、内視鏡治療で完治できましたが、もし内視鏡検査を受けずに症状が出るまで放置していたら、進行癌で見つかっていたかもしれません。もちろん内視鏡検査をやってから除菌した方も、やりっ放しは駄目です。除菌10年後でも癌が見つかることがあります。当院では除菌11年後に5X3㍉の早期胃癌が見つかったケースがあります。除菌しても内視鏡は必ず受けましょう 。
胃カメラの予約
原則予約制ですが、病状によっては1食抜きで来院していただければ、即日対応可能です。午前中の検査をお勧めしますが、午後の検査も対応可能です。