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ABC検診のすすめ(胃がんリスク検診)

ピロリ菌とは?

ピロリ菌は、胃内に住み着く細菌で、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎(ここでは慢性活動性胃炎を指します)、胃がん、胃の悪性リンパ腫等様々な病気を引き起こします。ピロリ菌感染の原因として、かつて井戸水がやり玉に挙げられていましたが、井戸水が問題なのではなく、家族内感染が多いことが明らかになってきました。親や祖父母の唾液を介して3才までに感染することが多いようですので、唾液の付いたお箸の使い回し、回し飲みなど、注意が必要です。

 

ピロリ菌は胃癌の元凶

ピロリ菌感染は、胃に慢性炎症を生じ、その結果胃粘膜の萎縮が進みます。胃の萎縮が進むほど、胃がんが発生しやすくなり ます。胃がんは、年間10万人が罹患し(罹患率1位)、年間5万人が亡くなっています。がん死亡率では男性で2位、女性で3位となっています。 

胃がんも初期でみつかれば、内視鏡治療で完治できるのに残念なことです。そもそも、ピロリ菌を退治していれば、がんにならないで済んだ可能性が高いのです。未だに「症状がないから胃は健康だ」と思っている方も多いですが、症状の有無でピロリ菌感染は判りません。 

 

ABC検診とは 

ABC検診は、血液検査で出来る胃がんリスク検診です。ピロリ菌感染の有無と胃の萎縮の程度を調べることで、胃がんのリスクが高い方を拾い上げる検査です。具体的には、ピロリ菌感染の有無 (ピロリ菌IgG抗体)と胃粘膜萎縮の程度(ペプシノゲン値)を測定し、胃がんになりやすい状態かどうかをA~Dの4群に分類します。胃がんになる危険度 がきわめて低い、ピロリ菌の感染がなく胃粘膜が健康な人たち(A群)は原則として胃カメラは不要です。ピロリ菌に感染していて胃粘膜に萎縮のあるがんの危険性の高い人たち(B~D群)には、胃カメラをお勧めします。無症状のうちに、早期がんを発見できれば、胃カメラによる切除で、ほとんどの方が完治しま す。また、ピロリ菌感染が判明すれば、健康保険でピロリ菌を退治できます(その場合、胃カメラを受けていることが条件です)。     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピロリ菌の電子顕微鏡写真

Wikipediaより)

毎年バリウム飲んでいるので自分は大丈夫です??

結論から言うとダメです。バリウムを飲む前にピロリ菌感染の有無を調べましょう。ABC検診は、既に一部の自治体では効率の悪いバリウム健診にとって替わられています。バリウム検診とABC検診を併用する自治体も出てきました。何故でしょうか?バリウム検診では、判定医によっては慢性胃炎 が“異常なし”と判断され見逃されているのが現状です。バリウム検診で異常なしと書かれている方に胃カメラを受けて頂くとピロリ菌感染による胃炎がみつかるのは普通のことなのです。私は以前バリウム検診の読影に携わっていたので、実情をよく理解してるつもりです。有所見率は何パーセント程度にしておいてとか指示されたりしてました。さすがに最近になって萎縮性胃炎で引っかけてくれるようになってきましたが、将来、胃がんにならないためには、ピロリ菌に感染しているかどうかを知っておくことが重要です。胃癌はピロリ菌退治で予防できるのです。感染していれば除菌して胃癌を予防しましょう。バリウムは毎年飲んでいても胃カメラを受けたことのない方、胃カメラを受けたがピロリ菌感染の有無が不明な方、胃カメラを受けるのが怖い方には、ABC検診を強く勧めます。  

 

ABC検診は、現時点で保険適応はありませんので、3000円少々の自己負担金をいただいています。食事の有無にかかわらず、いつでも出来ますのでご相談ください。

 

ABC検診で引っかかったら

胃カメラを受けて頂きます。保険診療でピロリ菌除菌を行うには胃カメラを半年以内に受けていることが条件になります。現時点で胃癌がないことを確認した上で、除菌療法となります。

 

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